アスリートデュアルキャリアについて知る

アスリートの世界でも少しずつ知名度が出てきた「デュアルキャリア」
言葉は知っているし、イメージもつくけどって人はスポーツに関わる人でも半分もいないのかもしれません。
今日ここではアスリートの世界におけるデュアルキャリアの理解を皆さんに深めてもらうためにも、デュアルキャリアの日本での始まりや、そのイメージ、デュアルキャリアを始める上でのポイントについても触れていきます。

目次

アスリートデュアルキャリアの概念

アスリートデュアルキャリアとは、アスリートつまり競技者としてのキャリアと、ビジネスの世界で生きる社会人または研究を極める研究者などの両立をしたキャリアのことを指します(ある意味文武両道の学生も十分にデュアルキャリアを歩んでると言えるかもしれません)。

ここで、キャリアの学びをしている人にとってはセカンドキャリアやパラレルキャリアという言葉も耳にしたことがあると思います。
何が違うのか?
いわゆるセカンドキャリアは、アスリートにとっての競技者としてのキャリアが第一であり、ビジネスの世界で生きる者としては第二のキャリアという意味で捉えられ、ファーストキャリアとセカンドキャリアの関係性が薄くなりがちです。

パラレルキャリアはどうかというと、アスリートとしてのキャリアと例えば文学のキャリアなど関係性が極めて低いものでのキャリアを同時に歩んでいる印象で捉えられています。

一方でデュアルキャリアとは、アスリートとしてのキャリアを歩みながら、ビジネスの世界など、スポーツで培われる能力やスキルが、もう一方のキャリアにおいても活きる、関係性が高いキャリアを同時に歩み、それぞれが相互に作用し合うキャリアのことを指します(ビジネスとスポーツは関係性があるのか?といった声もありそうですが、それが関係性があるということがはっきりと分かってきていますし、経営者層からもはっきりと認知されてきています)。


日本におけるアスリートデュアルキャリアのはじまり

アスリートデュアルキャリアはなぜ最近になって耳にするようになってきたのか。それはスポーツだけやればいいと言われていた世代がセカンドキャリアとして社会に羽ばたき、その先輩方が少ない人数ではなく、一定数苦労をされているから。また、その延長線に犯罪を犯してしまう元スポーツ選手が増えたことなどが問題視されるようになったとも聞きますが、そうした元アスリートが持つ価値を前向きな価値として社会に還元しよう、活かしていこうといったところが願いであり、想いになったのではないでしょうか。

また、アメリカではそもそもセカンドキャリアという言葉をあまり耳にする事はないようで、アメリカの教育システムではスポーツをやっていればそれでいいという考えは強くないようです。アメリカの大学生チームは学業での単位やテストの成績を一定度上回らないと練習にも参加できないなど、日本の部活至上主義とは大きく異なり、現役の間に将来に向けてのビジネスマンとしての準備を当然のように行っています。

そうした環境もあり、日本においてもスポーツ選手のキャリアに関して対策は必要ではないかと文部科学省が平成24(2012)年に策定されたスポーツ基本計画で初めて、「デュアルキャリア」について言及し、概念の理解促進が行われるようになりました。
その後、スポーツ庁が平成27(2015)年 10月に文部科学省の外局として新たに設置され、その推進役を担い、少しずつその認知、考えを普及し今に至ります。


アスリートデュアルキャリアのポイント

アスリートデュアルキャリアにおいて、第一に競技を全力で続けたいといった思いが必要です。曖昧な気持ちで競技を続けるのであれば、第一線は退き、趣味で続ける方が自分にとっても周囲にとっても幸せな決断になろうと思います。
だからこそ、競技において決して妥協はしない、24時間の優先順位は必ず競技が最優先であることです。このときにはっきりさせておきたいのは、どれだけ競技に時間がかかるのか、休養のための必要な時間であるのかなど、競技にまつわる時間を明確にしておくことです。この明確な目安がなければ、なんとなくダラダラと競技に時間を費やし、デュアルキャリアが成立しなくなります。

そして、次にビジネスなのか、研究なのか、学問なのか。上記で明確にした競技へかける時間から、ビジネス、研究、学問へかけられる時間を割り出していきます。

一見、競技はしっかりやってるけど、もう一つのキャリアは片手間なんじゃないか?そう見る声もあるかもしれません。
ビジネスでも競技でも、質が大事だ!量が大事だ!といった議論は巻き起こっていますが、極論どちらも大事ですよね。高質なものを大量にやれたらそれこそ無敵です。ですが、人生は限られており多くがバランスの上に成り立っています。
アスリートは競技に時間という資源を投じることが多くなり、仕事などへは限られたものを投じていくことになります。その際に大事になるのがいかに質を高めるか。サラリーマンなどでも、のらりくらりと8時間程度の定時をやり過ごす人が日本の社会においても多くいます。いくら時間という資源を割いてもそれでは大きな成長は望めません。一方で5-6時間と一般のサラリーマンよりも短い時間ではありますが、高い集中力を保って仕事などへ打ち込めばその価値はどちらが高いでしょうか?私は後者に魅力を感じます、大きな異論はないのではないでしょうか?

すなわち、アスリートデュアルキャリアは決して片手間なんかではないのです。アスリートとしてのキャリアも、仕事などでのキャリアもどちらも本気に取り組むことなのです。
だからこそアスリートにとっては覚悟が求められます。競技も仕事なども同時に行うことは当然大変であり、多忙を極めます。
大きな苦労を乗り越えるからこそ、その先に大きなものがある。そう信じて努力を重ねられる人が手に入れたい大きなものを手に入れられるのです。

アスリートデュアルキャリアという道を歩む覚悟を決めて、努力を続ける。
その選択を自分自身で腑に落とし、納得して決断する必要があるという点が最大のポイントです。

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